~鍼の効果、ツボの不思議、ツボと筋膜の関係とは? 鍼で逆子も治る?~

最近、鍼灸や東洋医学について、頻繁にメディアで取り上げられるようになりました。
正しい情報を一般の方に知ってもらえることは、業界の人間にとって、とても嬉しいことです。
2019年2月20日放送のNHK「ためしてガッテン」では、「鍼治療の知られざる世界」というテーマで特番が組まれました。
その詳細をご紹介します。

鍼の神秘を、番組で分かりやすく紹介

街中でよく見かけるようになった「鍼灸院」。
年々急増してきており、平成28年の衛生行政報告例、コンビニエンスストア統計調査月報によると、なんと、コンビニの数より多い状態だとか!
鍼灸の専門学校では、鍼灸師の国家資格を取得しようと、若者が大賑わいとなっている。
中には、医学部に通っていた学生が、医学部をやめて、鍼灸学校に入りなおすというケースもある。
今、「鍼が、とてもアツい!」のです。

街行く人に鍼治療についてインタビューすると、
・若い男性は「すごく鍼治療はよく効きました!」
・マダムは「五十肩で両方の肩が上がらなくなってしまった時、鍼をたくさん刺してもらったところ、肩がぐるぐる回るように治った!」 と、好評な意見がある反面、
逆に、
・「うさんくさい。治るか、治らないかで言えば、治らない!」と、言う若者や、
・「捻挫したところに、鍼を刺して、治ると思うか? 鍼が刺さるんですよ!」という年配の方の疑問などもあり、
両者の評価は真っ二つに分かれています。
どちらが本当なのでしょう...?

スタジオに鍼研究をしている科学者に登場してもらい、鍼の不思議や、魅力を徹底的に解説してもらう。
さらに、鍼のルーツである中国へ行き、鍼業界のレジェンドと接触し、研究するなぞの現象を紹介。
一方では人気があり、また一方では怪しげという鍼治療の真実に迫る。

 

スタジオ出演者の鍼への印象やご意見もさまざま

出演者は、金子貴俊さん、山根千佳さん、眞鍋かをりさんの3名。それぞれの鍼治療の印象は...?
金子貴俊さんは、「鍼を刺して効くというシステムが、まずはよく分からない。鍼を刺すだけでも痛いんじゃないかと思う。」
山根千佳さんは、「週一で美容鍼を受けている。リフトアップやむくみをとったりしている。」
眞鍋かをりさんは、「鍼の経験がある。腰が辛い時に受けるが、鍼なのに、痛くないんですが、刺さっているのに痛くない理由もよく分からないんです。」
立川志の輔さんも、「鍼がなぜ良いと言われるのか分からないし、何を基に、これがすばらしいものなんだと言っているのかもわからない状態ですね。」

不思議な経絡現象

番組スタッフは、中華中医薬学会終身理事の張縉(ちょうしん)氏という、中国鍼灸の伝承認人として、ユネスコも認めたレジェンドに、インタビューしてきた。
鍼はなぜ効くのか、その神髄を教わりに行ったのだが、
「ツボを鍼で刺激すると、エネルギーの通り道が赤く浮き出る体質の人がいる。」というお話...

スタジオの小野文恵アナウンサーが、写真を指し示しながら次のような説明をした。
「腎臓に病気がある患者に対し、足に腎臓に効くと言われているツボ(「湧泉(ゆうせん))らしき部分を指し示めしていた)があり、そこに鍼を刺したところ、そのツボから腎臓までずーっと続く、線が浮き上がってきた。」
また、別の写真を示しながら、
「心臓が悪かった患者に対し、手にあるツボに鍼を刺したら(小指あたりを指し示していた)、そこから心臓までずーっと線が浮き上がってきた。」と... 画像の出典:李定忠 中医臨床大系経絡現象 の写真が紹介された。

このことから、特異体質の方の場合は、線が浮き上がってきたが、普通の人間の体にもエネルギーの通り道があるのではないかと、張氏は考えている。

スタジオの出演者は、経絡現象の写真を見ながら説明を聞いたところ...
「今の時代画像はいくらでも出来るし...」
「エネルギーの話が出てくると、神秘的な話なのか...」
「最後に、何か買わされたりしないか...」
「西洋医学だと、処方される薬は、どのようなものがどれだけ入っているかはっきり成分が分かるが、鍼だとわかりにくい...」という、ごもっともなご意見が出ました。

鍼1本で症状が治る!?

東洋医学は、いまだに怪しげな印象や意見を持たれがちであるのが現状であるが、でも、ちゃんと症状が治っている人もいることも、また事実である。しかも鍼1本で、1発で!

驚きの現場① ~神奈川県厚木市「ぼんあつ治療院」鍼灸師:長谷川尚哉氏~
撮影当日、たまたま来院された患者さんのケース
前日ストレッチ中に首をグキッとしてしまい、首が回らなくて辛いと言われて来院。ほとんど首が動かない状態。
首の可動域などを確認の後、座位で「天柱(てんちゅう)」あたりに、5番鍼を2~3センチ刺入、少し探り、
「これですよね? 当たりな感じですね。」と。そして「はい、いいですよ。」と、鍼を抜いた。
すると、患者さんは「曲がります! 普通に曲がります!」と言いながら、首を動かした。
スタッフも「鍼を1本打っただけですよね?」と驚いて確認。
長谷川氏「そうです!」
患者さん「すごいです! なんでだろ~?っていう感じです。」と、本人も茫然。
鍼治療の持つパワーは、驚きですよね。

驚きの現場② ~ハイチ~
2010年に起きたハイチの大地震は、死者30万人を出した大参事であったが、この被災地で鍼治療が大活躍した。
医薬品が不足し、満足な治療が受けられない患者に対し、痛みを取り去るために、鍼治療が行われていた。
(映像提供:Acupunctursts Without Borders)
映像では、耳に鍼を刺すスタッフの姿が紹介された。
非常に多くの人が、痛みから救われたそうである。
「鍼は点からの贈り物です。痛みがあれば、鍼がそれを取り除いてくれるんです。」

たくさんの方が、鍼によって救われたということを知れば、鍼はすばらしいものなのだ、と思うが、はやり、
なんで治ったのか、はっきりしたデータや証拠がないので、もやもやするのでしょうか...?

また、鍼灸師が鍼を刺しながら、「これですよね。」と言ったものが何なのか...?
それは、ツボなのです。
鍼を語る上で大切なツボの秘密について、説明をしていきます。

そもそもツボって?

2006年11月に、NHKのニュースで「WHO経穴部位国際標準化公式会議」について、次のような報道がなされました。
「国によって異なる部分があった鍼や灸などのツボの国際的な統一基準が決まりました。
日本・中国・韓国で位置が微妙にずれていて、調整がつかなかったツボが6個あり、それが今回の議論の中心になりました。」
ツボは、実はこうした会議を経て、361種類が世界共通のツボとして認定されているのです。

ツボは、もともと漢字で表記されていましたが、漢字が分からない国の人にも分かるように、アルファベットと数字を組合せた表記もされるようになり、研究者同時が分かり合えるようにしています。
たとえば、「中府(ちゅうふ)」というツボは、肺経という経絡の1番最初のツボなので、「肺=LUNGの1番目」、という意味で「LU1」と、表記されます。

鍼治療の本場、中国では?

ツボとはいったい何か?
そこで、鍼治療の本場中国へ。
中国では、老いも若きも鍼に親しんでいます。
さらに、ペットにも鍼が行われます。
利用者は、「ペットが腰のヘルニアで鍼治療を受け、走り回れるようになりました。」と。
また、体のシビレで鍼治療を受けにきた男性患者は、頭に鍼を刺したまま、ご帰宅されるとか。
おそるべし中国!

ツボの起源

中国でツボの起源を探るべく向かった先は、鍼研究の中心地、浙江省(せっこうしょう)衢州(くしゅう)。
楊継洲医院の中医師金瑛氏は、中国きっての鍼の名手。
17世紀にまとめられた「鍼灸大成(しんきゅうたいせい)」は、中国鍼灸の歴史や治療法が詳しく記された最も重要な書物の一つだと言われている。
「昔、頭痛持ちの人がいて、ある日、石につまずいて、足を傷つけたことがあった。すると、不思議なことに持病の頭痛がすっかり治った」ということがあったそうです。
これがツボの始まりだと考えられています。(諸説あり)
以来、中国の人たちは、「鍼を打っては、体に起こる反応をみる」という経験を長年にわたって積み重ね、現在のツボの体系を作りあげたと言われます。

ツボはいつも皆にあるわけではない!

さらに、金氏は、ツボの正体を示す意外な事実を教えてくれた。
番組スタッフは、金氏に脈を診て、舌を見るなど、診察を受けた。
「胃腸が良くないみたいだから、せっかくだから治療を受けていきなさい」というご厚意で、鍼治療を受けることに。
さすが名手、鍼は痛くなく刺されていった。(「曲池(きょくち)」と「足三里(あしさんり)」あたりに鍼を刺した映像。)
しかし、金氏が鍼に触ると(回旋などの手技を加えた映像)、「ちょっと痛いです。痛たた、、、」
「やっぱりツボが出来ていますね。」と金氏。
んん? ツボが出来ているって、どういうこと?

金氏によると「実はツボは、体に不調があってはじめて現れるものなんです。あなた(番組スタッフ)は胃腸調子が良くないから、「足三里」というツボが現れたんです。」ということなのだそう。
ツボって、はじめからみんなにあるものではなかったのか?
「本当に健康な状態であれば、今、あなたにツボはない」ということになります。

ツボがあるか、反応はどんな感じなのか、スタジオで体験

スタジオに、鍼研究の第一人者、明治国際医療大学教授伊藤和憲氏登場。
伊藤氏は、鍼の科学的メカニズムを研究し、鍼灸師として治療を行うスペシャリストです。
伊藤氏は、スタジオ出演者の腕を順番に押していき、ツボをチェックしていった。

場所によって痛いと感じる場所が一番多かった山根千佳さんに、鍼治療を行うことに。
「手三里(てさんり)」に鍼を刺していった。切皮し、少し細かい手技を加えながら、、、
「まだ大丈夫ですか? この辺ですかね?」と、山根さんの反応を確かめ、
「まだ全然大丈夫です。」「あーきました。刺激されている感じです。」と、山根さん。
「鍼をした時は痛くないんですが、鍼を入れていくと、ツボの傍にくると、ちょっと重だるく、ドーンとした感じがします。」と伊藤氏が解説。
「別に激痛とかでは全くなく、ず~んって、効いているな~っていう感じですね。」と、山根さんの感想。
伊藤氏は、「筋肉が少しきゅっと収縮した感じになって、鍼が重くなりますので、ツボにきたなと、私たち専門家は判断します。」と解説してくれた。

エコーを使って、ツボの解明をしてみた

不思議な世界のことだけに、我々は確かなことを...と求めながら、今回番組では実験を行ってみた。
こういうこともあるんだな、と、証明された一つです。

ツボとは一体何なのか。まず行ったのは、鍼がツボを的確にとらえた時の撮影。(鍼灸師の辻文将氏の映像)
鍼を刺し、大きく雀啄した時、筋肉がビクっと一瞬動いた。
鍼を受けている人は、「よし、きた!みたいな感じです」という感想。
この、筋肉が痙攣するような動きは、鍼がツボを的確にとらえた証拠。この時、鍼の効果が現れるのです。

このような現象が起きる時、体の中で、鍼は何をとらえたのか?
鍼灸学科がある大学(東京有明医療大学)の協力を得て、超音波エコーで調べてみた。
慢性的な肩こりがある松浦さんを被験者として、実験。

肩こりに効くと言われている「肩井(けんせい)」というツボに鍼を刺した。
エコーの画面に、皮下の映像と、鍼の映像が映り出された。
松浦さんが、「あ、響きました。」と言って反応した時、鍼先は、白いスジとして映り出されていた筋膜のところを刺激していた。
同様に、腰痛持ちの人に対しても、映像で確認。
この白いスジ状のものは何か...?
その正体は、筋膜なのです。

筋膜がツボ?

ツボの正体には、さまざまな説があり、未解明な部分も多いのですが、今回は有力な説の1つを説明。

私たちが動くのは、筋肉のおかげです。
筋肉の1本1本は、細い繊維でできています。その繊維がバラバラにならないようにひとまとまりで袋に入っている。その袋のことを「筋膜」と言っています。
筋膜が筋肉の両脇できゅーっと細くなって、筋肉を骨に固定しています。
無理な姿勢をずーっと続けているようなことが起きると、周りの血行が悪くなり、筋膜にしわができてしまう。
これが、エコーで見ると、白いスジとして見えのです。

筋膜は、痛みを感じる受容体が密集しており、しわができると痛みを感じるようになります。
全てではないが、しわが寄りやすい場所がツボなのです。(神経の集まる場所など、筋膜以外のツボもある)
鍼は、このしわに対して何をするかというと、鍼によってしわに小さな傷ができます。
この傷を治そうとして、血流が集まります。
たくさん血液が流れるようになると、しわが消えていく。
しわがなくなることで、痛みがとれわけです。

先ほど実験をした治療前と、治療後のエコー画像の比較をしてみると、
治療前は、くっきりとした白いスジが映っているのに対し、治療後は、白いスジが薄くなっている。
完全にはとはいかないが、白いスジが薄く、しわがなくなっています。

番組冒頭で紹介した、首が回らなかった女性が鍼1本で首が回るようになった不思議な現象、まさに、鍼が筋膜を刺激した結果、痛みがとれたと考えられます。

では、中国で胃腸が悪いと言われた番組スタッフは、足に鍼を刺されていた。このように鍼を刺された場所から離れた場所に効果がでるのは、どうしてなのか。これからは、もう一つのなぞにせまる。

逆子が鍼で治る?

その現象が見られると聞いて、やってきたのは、神奈川県横浜市の産婦人科。
一体、何が行われるのか...
産婦人科医 善方裕美氏がエコーで診察している妊婦さんが抱えている問題が「逆子」。
逆子のまま出産すると、へその緒が首に巻きつくなどのリスクがある。
そのため、帝王切開になるケースが多い。
そこで鍼治療。
なななんと! 鍼をさすと、逆子がひっくり返るんだそう。
治療の様子を見せてもらう。
妊婦さんが側臥位で横たわる。1人のスタッフがエコーを当てて赤ちゃんを観察しながら、鍼治療を実施。
鍼灸師の辻内敬子氏が鍼で刺すのは、お腹ではなく、なぜか足。(映像では、1寸02番で、「三陰交(さんいんこう)」や「太渓(たいけい)」を浅く刺している様子。)
すると、赤ちゃんが大きく動くようになる。
こうした治療を続けることで、逆子が改善される人がいる。(すべての逆子が治るわけではありません)
鍼を刺したのは足なのに、赤ちゃんが元気に動きだすなんて、本当にどうしてなんでしょうか。

ツボへの刺激は、ネットワークを通じて体の各部に効果

「お腹のどこかに通じるツボがあるのでしょうか?」
スタジオの伊藤氏が解説。
「ツボはつながりがあることが分かっていて、それが科学的に一体何なのか、という研究が進んではいるが、
足のツボと、子宮や卵巣を支配している場所は、同じ脊髄に支配されている。
足に刺激をすることで、脊髄が興奮し、同じ神経に支配されている子宮や卵巣の血流が増える、というのが今の科学的な説明です。
ところが、今は脊髄という言葉をキーにしましたが、脊髄では説明できないものもあり、
ある人は、リンパや血液の流れが関係しているのではないか、
またある人は、筋膜のつながりではないか、というようにいろいろな意見がある。
起きる現実はあったとしても、なんでかということが、まだ科学では説明できていない。」

なるほど...
「逆子の赤ちゃんが動いたのは、足のツボへの刺激が、神経のネットワークを通じて伝わったから」ということなんですね。
私たちの全身の組織は、血管や神経、リンパなど、さまざまなネットワークで結ばれています。
ツボを刺激すると、こうしたネットワークを通じて、離れた場所にも作用すると考えられています。

そして最近、新たに注目されているネットワークがあります。
先ほど紹介した筋膜。
例えば、ふくらはぎの筋膜は、ふともも、背中、首の筋膜につながっていることがわかってきました。
そして、その筋膜のつながりに、中国に伝わる経絡というツボのつながりを重ね合わせてみると、なんと驚くほど一致していた。
また、首から手にかけての筋膜のつながりも、経絡に一致し、今さかんに研究が進められています。

番組では、逆子の他にもう一つ、ツボのつながりを示すおもしろい現象が撮影できました。
ツボの中で、最も重要なものの一つと考えられているのが合谷(ごうこく)。頭痛は歯痛など、頭部に関する痛みを抑えるツボとされています。
そこで、この合谷に、鍼を刺し、顔の血流を測定してみると、鍼を刺して10分後、顔の血流が劇的にアップした。

鍼の種類はたくさんある

今まで鍼、鍼、と言っていましたが、鍼の種類はたくさんあります。
日本の鍼は、細いのが特徴などなので、管に入っています。
中国の鍼は、少し太めで、中医学といって、少し外科的な要素も含まれるので、太め。
切り開くような鍼とは言えない形状のものもあるが、最近ではほとんど使われなくなっているが、昔は切開する、ということで使われていた。
子供には小児鍼と言われるもの、鍼がきらいな人には、刺さない鍼もある。
コロコロと経絡の流れを刺激するタイプのものや、鍼が痛い、恐いという人には、ツボを軽く刺激するようなタイプのものもある。

今後の課題:エビデンス

伊藤氏は、
「近年は、エビデンス(治療法に効果があることを示す根拠のこと)といって、本当にそこに刺したら治るのか、本当に病気の人にそこに反応があるのか、っていうことは、だいぶ研究が進んで進んでいるので、後付けになってしまうが、理由を説明する、ということが我々が行うことではないかと思っている。」

今回番組では、鍼と言う、ある意味明確に一言では語りきれないところを、できる限りアプローチを試みた。

原理はよくわからないけど、鍼に救われている人が、確かにいるのです。

番組最後に...
方程式通りに東洋医学の説明はできませんが、でも鍼で本当に助かっている方々がいます。
西洋医学では改善が難しい症状が、鍼治療で良くなるケースがあります。

脊柱管狭窄症の後遺症に苦しむ栗田孝子さんのケース。(東京大学医学部付属病院)
脊柱管狭窄症は、腰骨の変形が神経や血管を圧迫し、足に痛みやしびれで出る病気。
栗田さんは手術の結果、痛みは取れたものの、両足にしびれが残ってしまった。
栗田さんは、「手術が終わったあと、立って歩けるようにはなったんですが、このしびれには耐えられないので、わらをもつかむ思いでやってきた」とのこと。
そこで、栗田さんが救いを求めたのが、鍼治療。
受けると血流が改善し、ひどいしびれが和らぐという。
「しびれがあって、左足に温度差があったが、それが多少よくなった」と栗田さんの印象。
このように、しびれ、慢性痛の改善は、鍼の特に期待できる効果として認められている。

一方、平塚にお住まいの香川直さんのケース。
全身の筋肉が年々硬直し、痛みが発生する難病を抱えています。
「夜、どうやって寝たらいいか、わからない」というほど、体が痛む。
痛み止めは、既に症状を進行を抑えるためにたくさんの薬を飲んでいるため、使えない。
薬が増えると、今度は副作用の心配がおきるため、病院の先生も現状以上に薬を増やしてくれない。
薬に頼らずに、痛みをとりたい、そんな人にも鍼治療は助けになります。
香川さんは、週3回のペースで鍼師に往診をしてもらっている。
鍼治療を受けると、香川さんは、痛みが和らぎ、自分の力で歩けるようになる。
奥様も、「本人はいつも痛くてつらいから、いつも苦虫をかみつぶしたような顔をしている。先生に来ていただくとほっとする。」
香川さんも「本当にありがたいです。」

小川文恵アナウンサー「他にも、赤ちゃんが心配で、薬が飲めない妊婦さんからも、鍼治療は喜ばれているそうです。」
立川志の輔さん「患者さんにとっては、理屈ではなく、症状が治ることが第一。いいじゃない、それで。」
小川文恵アナウンサー「症状が治ることは、喜びが大きいはずですものね。」
山根千佳さん「することによって、気が楽になるということもあるので、そういうことも含め、すごく大きい治療だなと思う。」

もちろん、治療の効果には個人差がありますが、長引く痛みにお困りの方は、検討されてみてはいかがでしょうか。