逆子とは、妊娠中に赤ちゃんが頭を下にする姿勢(頭位)ではなく、頭が上や横に位置している状況を指します。
この状態が続くと、出産方法に影響を及ぼすことがあります。そのため、逆子と診断された場合、早めに適切な対策を講じることが重要です。

帝王切開は、逆子の場合など自然分娩(経腟分娩)をするにはリスクがあると判断された場合、事前に予定されます。自然分娩の経腟分娩を行うのが難しい場合、帝王切開を選ぶことで母子の安全を確保することが可能です。

妊婦

逆子治療には鍼灸療法も効果的とされており、当院は逆子専門鍼灸院で逆子に特化した専門的な鍼灸治療を行っております。安心してご相談ください。

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逆子とは何か

逆子とは、妊娠中に赤ちゃんが頭を下にせず、上や横の位置になっている状態です。通常、赤ちゃんは妊娠28週頃まで子宮の中を自由に動き回れるので、自然に逆子が解消されます。しかし、一部の逆子は直らず、逆子のまま出産を迎えることがあります。

いろいろなデータがありますが、逆子であるおおよその確率は、以下の通りです。

  • 妊娠30週:約15%
  • 妊娠34週:約10%
  • 妊娠36週:約7%
逆子

週数が進むにつれて逆子が解消されていきますが、週数が進むにつれて直りにくくなっていきます。逆子のままで経腟分娩を行うのはリスクがあるため、出産方法を検討する必要が出てきます。
逆子で不安を感じている方や、治療法をお探しの方は、専門家のアドバイスを受けながら適切な対応を検討してみてはいかがでしょうか。

逆子の定義と種類

胎位(胎児の縦軸と母体の子宮の縦軸との位置関係)は次のように分類できます。

  1. 縦位(じゅうい):胎児の縦軸と子宮の縦軸が平行となっている場合
    a.頭位:胎児の頭が子宮の下方にある場合・・・正常な姿勢
    b.骨盤位:胎児の骨盤が下方にある場合・・・いわゆる逆子
  2. 横位(おうい):胎児の縦軸が子宮の縦軸に横に交差している場合・・・これも逆子
  3. 斜位(しゃい):胎児の縦軸が子宮の縦軸に斜めに交差している場合・・・これも逆子

1-a だけが正常な状態で、1-b,2,3 は逆子に分類されます。
ちなみに、正常な姿勢の赤ちゃんの自然分娩のことを、頭位経腟分娩といいます。

また、逆子の種類は、胎児の脚の状態で分類されています。産道に違い胎児の体の部位によって分類されています。

  1. 臀位:臀部が一番下にある場合で、逆子の約75%程度をしめます。
  2. 膝位:膝が一番下にある場合で、逆子の約1%程度と稀です。
  3. 足位:足が一番下にある場合で、逆子の約24%程度ですが、破水しやすいので注意が必要です。

逆子と一言で言っても、赤ちゃんの姿勢にはいろいろあるので、もし逆子と診断を受けた場合には、どのような姿勢なのか、医師に確認しておくと、正常な姿勢へ直す対策をするときに役立つ情報となります。

逆子の原因

逆子の原因は実ははっきりとはわかっていませんが、以下のようなことがリスクになると言われています。

  • 子宮の形態異常:子宮筋腫や先天的な子宮奇形であると、赤ちゃんの動きを阻害し、逆子になりやすいと言われています。
  • 胎盤の異常:子宮の下の方につく低置胎盤や、子宮口を覆うように胎盤ができる前置胎盤である場合、逆子になりやすいと言われています。
  • 骨盤の幅が狭い:母体の骨盤の幅が狭いと、赤ちゃんが動きにくくなるため、逆子になりやすいと言われています。
  • 多胎妊娠:双子や三つ子などの場合、赤ちゃんが動けるスペースが狭くなるため、逆子になりやすいです。
  • 羊水の異常:過多、羊水過少:羊水過多(羊水が多すぎる)だと赤ちゃんが動き過ぎて姿勢が安定しない、羊水過少(羊水が少なすぎる)だと赤ちゃんが動けないことで逆子になりやすいと言われています。
  • 前回の出産が帝王切開であった
  • 胎児の形態異常(水頭症や無脳症など)
  • 胎児の発育不良:胸囲/頭囲比が低値であると逆子の率が上がるというデータがあります。

これらのリスクを理解し、逆子であると診断を受けた場合には、早期に対策を講じることが必要です。

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胸囲/頭囲比と逆子、横臥位との関連性

帝王切開や子宮手術の既往のない母親から妊娠34~41週で出生した、先天性異常のない単胎児83,822名のデータを解析おこなった疫学調査があります。対象となった子どものうち、逆子は2.6%、横位は0.2%であった。

胸囲/頭囲比が低値の群では、胸囲/頭囲比が標準の群よりも、逆子(5.2%)と横位(0.3%)の割合が大きかったが、胸囲/頭囲比が高値の群では逆子が少なかった(1.1%)。

このことから、胸囲/頭囲比が低いと胎児が非頭位胎位になりやすいことが示唆されています。

帝王切開について

帝王切開は、メスで母体の下腹と子宮を切り開き、外科手術によって分娩を行う出産方法です。母体や赤ちゃんに、何らかのリスクがある場合におこなわれ、逆子、多胎児などの娩出に多く適応されます。
先ほどの疫学調査においては、逆子の96.8%に帝王切開による出産が行われています。

手術は下腹を切開することで行われます。縦切り(縦切開)と横切り(横切開)があります。
縦切りは皮膚の線維に沿って切るため出血が少なく手術時間が短くて済み、治りも早いという利点がありますが、ケロイドの傷痕が残りやすく、目立ちます。
横切りは恥骨の上2~3指上程度の高さを切ります。手術時間は縦切りより長くなりますが、下着で隠れるので傷痕は目立ちにくいです。
かつては縦切りが多かったのですが、現在は美容的な観点から計画出産の場合には横切りが多いようです。
緊急の場合は縦切りになる可能性があります。また中には、皮膚は横切り、子宮は縦切りをすることもあるようです。

帝王切開

皮膚の切開は、胎児の頭の幅がおおよそ10cm程度あるので、それよりも少し大きく12cm程度切ります。

麻酔を使用しますが、下半身のみに麻酔がかかる部分麻酔で帝王切開が可能なので、赤ちゃんの産声を聞くことが出来ますが、手術中の音が聞こえるので怖く感じる場合には、全身麻酔を希望した方が良いかもしれません。

経腟分娩は平均6日の入院(出産5日目に退院)ですが、帝王切開の場合、帝王切開後の経過や病院によって違いがありますが、前日から入院し、出産後7~9日目に退院(10日前後)となるようです。

逆子で計画的に帝王切開を受ける方は、事前にどのような手術が行われるのか確認し、自分に適した選択肢を見つけることが大切です。

 計画帝王切開

通常、妊娠37週までの健診で自然分娩が難しいと判断されると帝王切開となり、38週ごろに手術が行われます逆子、多胎児、前置胎盤などで行われることが多いです。

 緊急帝王切開

赤ちゃん又はお母さんの体に急に問題が起こり、急いで赤ちゃんを取り出す必要がある場合に行われます。

  • 胎児機能不全:妊娠高血圧症候群などの母体の問題や、胎児の発育不全などの胎児の問題で、胎児に何らかの異常がみられ、胎児が安全だと言い切れない状態となった時、帝王切開が行われます。
  • 遷延分娩:経腟分娩を行っていて、分娩時間が長引き、リスクがあると判断された場合、帝王切開に切り替えることがあります。
  • 常位胎盤早期剥離:出生前に胎盤が剥がれて大出血が起こり、危険な状態になることから、すぐに赤ちゃんを取り出す必要があるので、帝王切開が行われます。
帝王切開

逆子による帝王切開の必要性

逆子による帝王切開は、赤ちゃんの命と健康を守るための選択肢です。通常の分娩では、一番大きな頭が産道を広げながら赤ちゃんは出てくるので、頭がでれば体は比較的楽に出てこれます。しかし逆子の場合一番大きな頭が最後に出てくることになるので、次のようなリスクが高まります。

  • 臍帯脱出による仮死や死産
  • 微弱陣痛、分娩遷延(分娩にかかる時間が長くなる)
  • 骨折
  • 神経麻痺(上腕神経損傷など)
  • 脳室内・頭蓋内出血
  • 腹腔内臓器損傷など

 逆子の赤ちゃんに死亡や重篤な合併症が起こる割合は普通分娩で20人に1人(約5%)、帝王切開では、100人に1人(約1.6%)と、帝王切開の方がリスクが低くなります。

そのため、逆子である場合、医師は帝王切開を選択します。帝王切開は母子ともに安全に出産を行うための有力な方法です。

また、外回転術を行っても位置が改善されない場合や、母子の健康上の問題がある場合も帝王切開が選ばれることがあります。大切なのは、医師とよく相談し、自分と赤ちゃんにとって最善の方法を見つけることです。

帝王切開のリスクとメリット

帝王切開にはリスクとメリットがあります。

帝王切開のリスク

  • 手術に伴う出血や感染症(縫合部位に炎症や膿などが生じる)の可能性がある
  • 手術後の回復には時間がかかる。
    切開部の傷の痛みがあり、瘢痕やケロイドが発生することが少なくない
  • 次回の妊娠でも帝王切開による出産をする必要がある
  • 術後の合併症として、血栓症(肺塞栓)が起きる可能性がある
  • 切開した組織や臓器の癒着などが起きる可能性がある  など

帝王切開のメリット

  • 最も大きなメリットは、出産時のリスクを減らし、母子の安全が確保される
  • つらい陣痛を感じないですむ
  • 出産までの時間が短い
  • 予定帝王切開の場合、出産スケジュールが事前に分かる  など

逆子の直し方・治療法

逆子を直す方法にはいくつかの選択肢があり、医療機関で行われる外回転術や逆子体操、妊婦ヨガ、鍼灸などです。

外回転術を行う医療機関は限られています。緊急帝王切開ができる施設でのみが実施が許されていますが、リスクを伴うこともあるため、環境が整っていても実施しない病院もあります。

逆子体操や妊婦ヨガなどは、定期的に行うことで逆子が解消される可能性がありますが、自己流で行うと辛いだけで効果が期待できない場合がありますので、専門家の指導のもとで行うことが望ましいです。

また、鍼灸、特に「逆子の灸」と呼ばれるお灸が効果的な療法といって知られています。正いツボの位置や、お灸のやり方について、逆子専門の鍼灸院で施術を受けながら、指導してもらうことがおすすめです。

上記のような特別なことを特にしなくても、側臥位(横向き)で寝るだけでも効果が期待できると考えられています。どちら向きで寝たらよいかは、赤ちゃんの姿勢によるので、担当医師に指示をあおいでください。

外回転術

外回転術は、逆子を改善するために医療機関で行われる唯一の治療法です。
妊婦のお腹の上から胎児の頭部と臀部を持って、赤ちゃんを回転させて逆子を矯正するものです。
医療機関にもよりますが、妊娠36~37週頃に行われることが多いようですが、成功率は40~50%程度と言われています。
ただし、外回転術は全ての妊婦さんに適応できるわけではありません。妊娠経過や合併症、母体や胎児の状態により、実施の可否が判断されます。

外回転術

全ての医療機関で行われているわけではなく、緊急時の対応ができる医療機関で、赤ちゃんの心音などをモニターしながら手術室で行われます。
一般的に1泊2日または2泊3日で行い、お腹の張り止めを点滴し、子宮の筋肉の緊張を和らげてから、外回転術は行われます。矯正するために比較的強い力を加えるので痛みが伴います。そのため硬膜外麻酔によって痛みなく行う方法もあります。

経験と技術が必要となるため、産科の医師が全員できるわけではありません。
外回転術を考えている方は、担当医とよく相談し、自身の状況に合った方法を選ぶことが大切です。

なお、かつてはお産婆さん(助産師)が外回転術を行っていたところもありますが、現在では助産師は外回転術を行ってはいけないことになっています。
助産院で出産を予定していても、妊娠34~35週頃になっても逆子のままであり、逆子のまま出産に至ると予測される場合は、連携している医療機関の医師の管理下に移らなくてはなりません。
骨盤位出産は、妊娠経過が正常であっても助産師が取り扱ってはならないことになっています。

外回転術のデメリット

外回転術のメリットは、逆子が治るということにつきますが、次のようなデメリットもあります。

  • 一過性の胎児心拍数異常(徐脈)
  • 破水
  • 性器出血
  • 常位胎盤早期剥離
  • 胎児死亡
  • 子宮破裂

異常が認められた場合は、緊急帝王切開で対応することになります。しかし、緊急帝王切開の対応が遅れ、不幸にして赤ちゃんの脳障害が残ってしまったという悲しいニュースがあります。

 外回転術を受けた赤ちゃんが医療ミスで脳障害が残った事例

外回転術を受けたのですが逆子が治らず、赤ちゃんの心音が低下し、ハイリスク状態になっているにもかかわらず、医師は2回目の外回転術を行った。心配になった母親は帝王切開を希望したにもかかわらず、担当医は帝王切開を拒み、経過観察が続いた。2日目にこうした状態を危惧した別の医師が帝王切開を行い赤ちゃんが生まれたものの、頭にあざがあり、呼吸不全による“新生児仮死”状態で、脳の約9割の機能を失い重度の障害が残って、全介助状態となってしまった。

医師は、失敗したことがないので、帝王切開という選択肢はない、と言って帝王切開を拒んだようですが、何事にも100%ということはないので、説明をしっかり受けた上で、選択決定していく必要があると思います。

逆子体操

逆子体操は、妊娠中に赤ちゃんが逆子の状態にある場合に行われるエクササイズです。外回転術のように外力で矯正するのではなく、赤ちゃんが自然に逆子を解消していく効果が期待されます。

体操といっても、ラジオ体操のようにリズムにのって体を動かすものではなく、母体の上体を下げる姿勢を一定時間持続するものです。
母体の上体を下げることで、骨盤にはまり込んでいる赤ちゃんの位置を重力によって動かして、赤ちゃんが自然に回転しやすくするのです。逆子体操には胸膝位法とブリッジ法の2つのやり方があります

担当医や助産師からやることをすすめられることもありますが、お腹の張りの原因になったり、子宮収縮や切迫早産を誘発する可能性があるということから逆子体操をすすめない、もしくは禁じている医療機関もあります。
また、母体と赤ちゃんのこれまでの健康状態によって、禁じられる場合もありますので、担当医に相談の上、逆子体操を行うかどうか判断してください。

逆子体操(胸膝位)

胸膝位法

逆子体操(ブリッジ法)

ブリッジ法

逆子体操を行う際には無理をしないことが原則ですが、自己流で行うと腰痛を引き起こしたり、息ができないくらい苦しいことがあります。安全に行うことが大切なので、専門家の指導を受けることが大切です。なお、逆子体操は、1日数回、毎日行います。

当院では、逆子専門鍼灸院ですので、逆子に特化した施術を提供しており、安全に行う逆子体操のやり方をご紹介しています。

鍼灸による逆子治療

鍼灸による逆子の治療方法は、多くの妊婦さんに支持されています。
鍼灸も外回転術のように外力で矯正するのではなく、特定のツボを鍼灸で刺激することで体全体のめぐりを整え、赤ちゃんが自然に逆子を解消していく効果が期待されます

鍼灸院ごとにやり方が多少違いますが、お灸が逆子に良いと考えられているので、一般的にはお灸を中心とした施術が行われます。
主に足先や足首にあるツボを使って刺激していきます。他の改善法と比べ、リスクや副作用がない方法なのでぜひお試しください。

なお、お灸は自宅でも行っていくことが効果的なので、ツボの位置の確認とお灸のすえ方を鍼灸院で指導を受けることが必要です。

逆子の灸

当院では、逆子専門鍼灸院ですので、逆子に特化した鍼灸治療を提供しており、自宅でのホームケアのやり方をご紹介しています。また、ホームケアで必要なお灸は差し上げています。どうぞ安心してお越しください。

逆子と帝王切開

逆子には対する改善方法には、外回転術、逆子体操、鍼灸(お灸)、横になる(側臥位)などがあります。

それぞれを試して逆子が治り、無事経腟分娩で出産できたという方の成功体験は、同じ悩みを抱える方たちに勇気を与えてくれるでしょう。
たとえば、芸能人の釈由美子さん、大島美幸さん、小森純さん、はしのえみさん達は、逆子体操やお灸で逆子を直すことができたとブログなどで報告されています。

しかし、残念ながらどれも100%ではありません。
逆子を治すことが出来た方もいらっしゃる一方で、ことごとく試したものの逆子が治らず、帝王切開で出産した方もいらっしゃいます。しかし、帝王切開となった場合でも、やれることは全てやり切ったので悔いはない、計画出産だったので事前にしっかりとした準備を行い、安心して出産に臨むことができたと言われています。

いずれの選択肢を選ぶにせよ、最終的には母子ともに安全に出産を終えることが何よりのことなので、検討の上、納得がいく出産を迎えていただきたいと思います。

まとめ

逆子と診断を受けてしまうと、ガッカリしてしまう方が少なくないと思いますが、まずは逆子の症状やその影響を理解することがともて大切です。逆子が続くと、出産方法に影響を及ぼし、場合によっては帝王切開による分娩が必要となることもあります。

しかし、逆子でも希望を持てる選択肢はあります。外回転術、逆子体操、鍼灸などがありますが、安全面、副作用がないということでは鍼灸がおすすめです。鍼灸で赤ちゃんが正常な位置に安全に戻る可能性を高めることができます。当院は逆子専門鍼灸院で、逆子に特化した鍼灸治療を行っており、多くの方に安心とサポートを提供しています。

逆子の悩みや不安を解消し、妊娠生活をより快適に過ごすために、ぜひ私たちにご相談ください。

●「逆子は脳の発達に関係するかを詳しく解説」のページもご参考になさってください。