逆子の直し方:妊婦さん向けの包括的ガイド
逆子は妊娠中期~後期の妊婦さんにとって、特に心配な症状の一つです。胎児の位置が正常でない逆子の場合、出産に影響を与えることがあります。そのため、逆子についての正しい知識と、逆子を直す方法を知っておくことはとても重要です。
近年、鍼灸治療が逆子に効果的だと注目されています。
鍼灸院では、専門の知識を持った鍼灸師が妊婦さんの体調を考慮しながら、逆子を改善するための施術を行います。
逆子でストレスを感じている方にとって、ストレス緩和にもつながります。
妊娠中の健康管理を重視されている方にとって、鍼灸治療は有効な選択肢となるでしょう。

逆子の原因
逆子の原因には、いくつかの要因が考えられます。
大きくは、妊婦さんの母体側に問題がある場合と、胎児側に問題がある場合の2つが考えられます。
母体側に問題がある場合とは、次のようなものをあげることができます。
子宮や骨盤の形態的な異常がある場合、例えば先天的に子宮の奇形や骨盤が狭い(狭骨盤)、や後天的に子宮筋腫やポリープなどができている場合、また前置胎盤や低置胎盤など、胎盤の位置に問題がある場合、羊水の量の問題(過少/過多)がある場合などです。
これらの要因があると、胎児が自由に動けるスペースがなかったり、姿勢が安定しにくく、逆子になりやすいことがあります。
また、妊婦さんが冷え性であったり、ストレスが多いなど、生活習慣や身体の状態によって、逆子を引き起こす要因となることがあります。
一方、胎児側の問題がある場合とは、次のようなものをあげることができます。
多胎妊娠(双子、三つ子など)である場合、胎児に先天性の疾患がある場合(水頭症、発達遅延など)や、胎児が活発に動き過ぎる場合、胎児が大きすぎる場合などです。
これらの要因があると、やはり胎児が自由に動けるスペースがなかったり、姿勢が安定しにくく、逆子になりやすいことがあります。
こうしたいくつかの要因が重なって起きていることがありますが、逆子の約85%は原因不明とされています。
逆子のリスクとその確率
逆子のリスクには、出産時の合併症や帝王切開の可能性が含まれます。特に初産の妊婦さんでは、逆子のまま出産を迎える確率が高くなる傾向があります。
ある調査によれば、妊娠34週に逆子である確率は約10%です。しかし、妊娠36週には約7%に減少しますが、これ以降は自然に回転することは難しくなります。そして最終的に逆子のまま分娩を迎えるのは3~5%程度であり、約95%の赤ちゃんが正常な位置に戻るとされています。
しかし、33~34週の妊婦検診の際に逆子であると、病院では帝王切開の日程が38週頃に決められてしまいます。帝王切開を決められてしまうと、妊婦さんにとってかなりのストレスになります。安心して出産を迎えるためには、早めに、できれば33週の検診までに逆子を直しておくように対策を講じると良いのではないかと思います。自然に治ると油断せず、ぜひ鍼灸治療などの選択肢も考えてみてください。
どのくらいの確率で逆子になるか
逆子になる確率は、妊娠週数によって異なります。妊娠30週までの段階では、約30%~50%と高く、子宮に余裕があるので、自然に治る可能性があります。しかし、妊娠が進むにつれて、その確率は減少していきます。
妊娠30週では約15%程度、妊娠34週では約10%程度まで減少します。そして、妊娠36週では約7%程度まで減少しますが、自然には治りにくくなります。
逆子の状態は不安を感じるかもしれませんが、自然に治る可能性もあるので、それほど不安に思う必要はありませんが、帝王切開を選択しなくてはならなくなる可能性もあることを知っておいてください。
逆子と診断されるタイミング
逆子と診断されるタイミングは、妊娠週数によって異なります。胎児は常に動いており、妊娠28週頃までは胎位が定まりにくいことがあります。この時期までに逆子と診断された場合、まだ治る可能性があります。
しかし、妊娠33~34週の妊婦検診の際に逆子のままの場合は、医師から帝王切開の手術日が38週に決められてしまいます。
逆子と診断されてから逆子の状態が持続するほど治りにくくなる傾向にあるので、逆子と診断されたら、早めに対処することが大切です。適切なアプローチを取ることで、逆子を改善する可能性が高まります。
逆子の直し方:具体的方法
それでは、逆子を直すためのいくつかの具体的な方法を紹介していきます。
まず、体勢を変えてみることが有効です。例えば、日常生活の中で四つん這いになってみたり、逆子に良いと言われる「逆子体操」を試みると良いかもしれません。
また、鍼灸治療は効果的とされています。特に、特定の経穴にお灸をすえる「逆子の灸」は、胎位を正常に戻す手助けをします。鍼灸治療は安全性が高く、妊婦さんにもリラックス効果をもたらします。
さらに、温めやマッサージも効果的です。お腹を温めることで血流が改善し、赤ちゃんが動きやすくなる環境を作ります。以上の方法を組み合わせることで、逆子の改善が期待できるでしょう。
病院では外回転術という胎位を矯正する方法もあります。
逆子体操のやり方
逆子体操は比較的簡単に実践できる方法です。しかし、妊娠高血圧(妊娠高血圧症候群)の方や、体調がすぐれない方は医師に相談の上行うようにしましょう。
次のような手順で行ってみましょう。
はじめに四つん這いになってみます。そのあと、肘をつけてみます。気分が悪くなるなど体調に変化がなければ、胸を付けるような姿勢になります。呼吸が普通にできているか確認してください。もし呼吸が止まって、息ごらえしているような状態であったり、気分が悪くなったり、腰が痛くなったりしたら、無理をせず、1つ手前のステップの姿勢を保持していきましょう。
逆子体操は「胸膝位」と言われるように、「胸と膝をついた姿勢」という意味で、この姿勢のポイントはお尻を上げることにあります。お尻を上げることで、骨盤に入り込んで動けなくなっている赤ちゃんを、重力で骨盤からずらしていき、赤ちゃんが動きやすい状態にしていくのです。
逆子体操には、もう一つ「ブリッジ法」という仰向けで行うものもありますが、経験的に「胸膝位」の方がより効果的であるように思われます。
この姿勢を10~15分続けていきますが、途中で辛くなった場合は無理をせずやめて、横向きで横になって休憩しましょう。
横向きの姿勢は、胎児の逆子の姿勢によって、医師がどちらを下にした方が良いかアドバイスしてくれるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
逆子体操の後すぐに起き上がると、ふらつくことがあるので、5分くらい横になってからおきあがるようにしましょう。
この体操は1日3回程度行っていただくと逆子の改善が促進されます。ただし、体調に異変を感じた場合は、無理をせず医師に相談してください。

外回転術とは
外回転術は、医療機関で行われる逆子を直すための処置です。
主に妊娠36~37週に入院して、医師が妊婦のお腹の外側から胎児を手で回転させて正常な位置に矯正する方法です。
いわゆるお産婆さんが行っていた時代もありましたが、胎盤剥離、破水、胎児の心拍低下などの危険を伴う可能性があるため、現在では万が一の場合に備えて、緊急手術ができる病院の手術室でのみ行うことが許されています。
子宮の収縮を抑える薬(張り止め)の点滴や、場合によっては麻酔を使い、超音波や胎児の心拍モニターで赤ちゃんの状態を確認しながら行われます。病院や麻酔使用の有無で異なりますが、成功率は50%程度、逆子の再発もあります。
ただし、外回転術は全ての妊婦さんに適応されるわけではありません。いくつかの条件に該当する場合は、希望しても行わないこともあります。また全ての病院で実施できるわけでもありません。外回転ができる技術を持った医師の有無によります。
逆子で悩んでいる方で外回転術を希望される場合は、通院中の病院の医師に通院中の病院で外回転術が受けられるのか、もし受けられない場合には、外回転術を実施している医療機関を紹介してもらえるのか、相談してみることをお勧めします。

自己回転を促す方法
逆子の改善には、自己回転を促す方法も効果的です。
まずは普段の生活習慣を見直してみましょう。
携帯を使う時間が長いとどうしても猫背の姿勢となってしまいます。背中が丸くなると、お腹が縮こまってしまい、赤ちゃんが動きにくい環境となります。1時間に1度は背中を伸ばし、胃を縦に伸ばすようにすると、お腹も広がって赤ちゃんが自由に動けるスペースを確保することができます。
また、特に冷え性の方は、血行が悪くなり、子宮が硬くなりがちです。そうすると赤ちゃんが動きにくい環境となってしまいます。お天気が良い日には散歩や軽いストレッチなどを行うことをおすすめします。ストレスケアにもなりますし、特に足を動かすことで、下半身の血流が促進され、赤ちゃんが回転しやすくなる環境となります。基本的には、リラックスしながら日常的に動くことを心がけてみてください。
また、逆子体操や四つん這いになる姿勢を日常に取り入れるのもおすすめです。昔は、四つん這いの姿勢で赤ちゃんのはいはいのように8の字に歩くと良い、とか、床掃除をすると良い、などと言われたものでした。いずれにしても、立ったり座ったりの姿勢と違って、四つん這いのような姿勢で、お腹を伸ばすと、赤ちゃんにとって動きやすい環境となるのでしょう。
もし逆子体操や四つん這いの姿勢が辛ければ、無理をせず、横になって寝ているだけでも効果があると言われています。横になって寝る場合は、医師からアドバイスをもらい、どちらを下にして寝ればよいか事前に確認しておきましょう。
逆子のお灸
昔から、逆子に対してお灸治療が有効と言われています。特に特定のツボにお灸を据えることで、かなりの確率で逆子が直る可能性があります。
「体性-自律神経反射」という身体の反応によって足先にあるツボへのお灸の温熱刺激が、子宮の血流を促進させ、子宮の筋肉を柔らかくし、胎児にとって動きやすい環境を作り、胎児の自己回転を促していくものと考えられています。
もしかしたら、妊娠中の鍼灸について、心配に思われている方もいるかもしれませんが、昭和初期に活躍した日本人の産婦人科医が、妊婦に対するお灸の研究をしました。その結果、妊婦がお灸をすることで、逆子が直るだけでなく、妊娠後期の足のむくみの改善や安産での出産ができ、良い結果が得られたという論文を世界に向けて発信しています。ですから妊娠中でも安心してお灸をお受けいただけます。
セルフケアとして自宅でお灸をする妊婦さんもいらっしゃいますが、はじめは専門の鍼灸師に、ツボの位置やお灸のやり方、お灸の温熱刺激の程度など、指導を受けてから行ってみることをお勧めいたします。


逆子の予防法
逆子になってから直すよりも、逆子を予防していくことも大切です。
逆子を予防するためには、日常生活での工夫が大切です。
まずは、血行が悪くなるような日常生活は避けることが大切です。血行が悪くなるような日常生活とは、主に①冷え、②運動不足、③ストレス、④食事です。
これらが日常的にあると、血行が悪くなり、特に下半身の血行が悪くなるとお腹が冷えてしまい、お腹の中の胎児が自由に動けなくなってしまいます。一般的に胎児は自由に動き回っていて、週数が進むにつれて一番重い頭を下にした姿勢で落ち着きます。しかし、胎児の自由な動きを妨げてしまうと、逆子の姿勢を固定させてしまうかもしれません。
そのため、下半身を温める、適度な運動(ウォーキングや軽いストレッチなど)を心がける、ストレス管理をする、バランスのよい食事を摂るということに心がけ、胎児が自由に動き回れる環境を作ることで、逆子の予防につながるだけでなく、万が一、逆子になってしまっても、早期に直る可能性が高まります。
さらに、定期的に妊婦検診を受けることで、逆子の早期発見につながります。疲れを貯め込まずに、疲れたら横になって無理をしないことも大切で、リラックスできる時間を持つことも忘れずに実践してみてください。
適度な運動と身体を冷やさない対策
妊娠中の適度な運動は、逆子の予防に大変効果的です。特にウォーキングや軽いストレッチなど、足を動かすと、下半身の血行を促進し冷えを改善するのと同時に、お腹のマッサージにもなり、胎児の位置を整える助けになります。日常生活に適度な運動を取り入れ、特に足をしっかりと動かすことを心がけましょう。
また、身体、特に下半身を冷やさないことも大切です。寒い季節や冷房の効いた室内では、下半身が冷えがちです。下半身が冷えるとお腹が冷えて、赤ちゃんは動きにくい環境となってしまい、逆子の原因になって直りにくくなることがあります。
このように、運動と温かさを意識することで、逆子のリスクを減少させることができるので、ぜひ実践してみてください。
逆子での分娩方法とそのリスク
出産予定日近くまで逆子が直らなかった場合、分娩はどのような方法があるのでしょうか?
逆子での分娩方法には、通常分娩(経腟分娩)、緊急帝王切開、計画帝王切開があります。これまでは妊婦さんの状況や医療機関の体制などによって分娩方法が選択されてきましたが、通常分娩(経腟分娩)にはリスクを伴う可能性があるため、近年ではほとんどのケースで計画帝王切開が行われます。
そのため、逆子の場合は早めに医療機関に相談し、自分の体調や胎児の状況を詳しく診断してもらいましょう。安全な分娩を行うためには、事前の準備が不可欠です。
逆子で通常分娩(経膣分娩)の可能性とリスク
通常分娩(経膣分娩)を望む妊婦さんにとって、逆子になってしまった時、逆子の状態のまま通常分娩(経腟分娩)を行うにはリスクが伴うことを理解しておく必要があります。
逆子のまま通常分娩(経腟分娩)を行う場合、胎児や母体にリスクが伴うことがあるので、近年では特に初産の場合はほとんど行われない傾向にあります。それは、逆子の場合、手足から出てきて頭が最後に出てくるような順番となるため、そもそも難産になるケースが多く、手足が引っかかり、脱臼や神経麻痺になる可能性や、また、一番大きな頭が最後に出てくるので圧迫されて酸欠となり、仮死状態になる可能性があります。
さらに、難産によりさまざまな局面で分娩の進行が阻まれる場合があるため、最終的に緊急対応として、緊急帝王切開となるケースもあるので、逆子の状態で経腟分娩は避けることが推奨されます。
帝王切開の必要性
帝王切開は、普通分娩(経腟分娩)に危険が伴う場合や、母体と胎児に危険が迫った場合に、それらを回避するために開腹手術して赤ちゃんを取り出す分娩方法です。
2020年の統計では、帝王切開で出産している割合は、22.4%になっています。過去30年で出産数は減少しているにもかかわらず、帝王切開の件数は約2倍に増加しています。母子の安全を重視するようになったこと、医療技術の進歩により、安全な帝王切開による出産が可能になったことが理由に挙げられます。
帝王切開には、緊急帝王切開と、予定帝王切開があります。
予定帝王切開は、前回の出産が帝王切開であった場合や子宮筋腫の手術の既往がある場合、逆子、巨大児、狭骨盤、前置胎盤、低置胎盤、多胎妊娠、母体に心疾患や脳血管の疾患がある場合、胎児が先天性の疾患がある場合などに行われます。
緊急帝王切開は、普通分娩(経腟分娩)中に、胎盤早期剥離が起きた場合、胎児の心拍数が低下した場合、陣痛が弱い、胎児が大きい、産道が狭いなど分娩の進行が不良となった場合など、医師の判断で緊急的に行われることがあります。

帝王切開のメリット
帝王切開のメリットは、何といっても、母子ともに出産時のリスクを減らすことができることです。また、予定帝王切開の場合は、出産日を事前に決められるので、予定が立てやすいということも言えます。海外では占いなどで希望する日に、あえて帝王切開を行うケースも少なくありません。
さらに、帝王切開は麻酔をかけて行われるため、つらい陣痛を感じることがなく、執刀から5~10分後には、赤ちゃんが生まれます。トータルでも1時間程度の時間ですみますが、経腟分娩の場合、平均で初産は約14時間、経産は約8時間かかると言われています。
帝王切開のデメリット
帝王切開のデメリットは、帝王切開で子宮を一度切開して縫ってしまうと、次の出産時に、陣痛に耐える力が弱くなって子宮が破れてしまう恐れがあるため、次の出産も帝王切開となります。
また、手術後の合併症のリスク(血栓症など)、切開部分の傷の痛み、瘢痕、ケロイドによる傷跡が残る、切開した組織や臓器の癒着などが起こる可能性があります。
さらに、帝王切開術で出産した後に不妊症になるケースがあります。切開した子宮の傷の治りが不完全であると、月経再開後もその傷口から微量の出血が続き、それが子宮内に溜まって妊娠を妨げるのが原因で、このような病態を「帝王切開術後瘢痕(はんこん)症候群」と呼ぶようです。
逆子経験者の声と鍼灸治療の事例
妊娠32週の妊婦さん
鍼灸が初めてで最初は心配に思っていましたが、2回目の鍼灸治療を受けた帰り道で赤ちゃんがいつもより大きく動いた感じがありました。次の検診で診てもらった結果、逆子が直っていることがわかり、安心しました。
妊娠34週の妊婦さん
病院で帝王切開の日程を決められてしまい、恐怖と不安で一杯でした。鍼灸治療を受けてから胎動がしっかりと感じるようになったと思っていたところ、蹴られる位置が変わってきました。検診で逆子が直っていると言われた時、嬉しくて涙が出そうになりました。
このような成功例は数多く、逆子でお悩みの方は、是非専門の鍼灸治療を検討されることをお勧めします。
まとめ
逆子についての理解を深め、適切な対策を知ることは、妊婦さんにとって非常に重要です。逆子の状態は、出産時にさまざまなリスクを伴うため、早めの対策が望まれます。
鍼灸治療は、逆子の直し方として注目されています。専門の施術者による鍼灸は、精神面でのストレスを緩和させる効果もあり、冷えやむくみの改善にもつながります。妊娠中の健康管理を大切にしている方にとって、ぜひ試していただきたい治療法です。
この記事が逆子の直し方に関する情報提供としてお役に立てれば幸いです。安全で健康な出産を迎えるために、ぜひ参考にしてください。


