「逆子(骨盤位)」とは?
赤ちゃんはお腹の中ですくすく大きく育っていきますが、妊娠後期になると、赤ちゃんは体の中で一番重い頭を下にした姿勢となり、出産を迎えます。
ところが、何らかの原因で、頭が下にならない胎位異常が起こることがあり、これを 「逆子」といいます。
「逆子」と一言で言っても、さまざまなタイプがあります。赤ちゃんの胎位によって分類すると、以下の3タイプに分類できます。
- 縦位:妊婦さんの体の縦軸と、赤ちゃんの縦軸が合致しているもの
●頭位(正常な姿勢)… 全体の約95%
●骨盤位(多くの逆子)… 全体の約5% - 横位:妊婦さんの体の縦軸に対して、赤ちゃんが垂直になっている… かなりまれ
- 斜位:妊婦さんの体の縦軸に対して、赤ちゃんが斜めになっている… かなりまれ
上記「縦位」には2種類ありますが、正常な姿勢の赤ちゃんの場合、頭を下に向けた姿勢ですが、産道に近い部分に頭があるので「頭位(とうい)」と言います。
これに対し、同じ縦位でも、赤ちゃんの頭が上になっている姿勢の赤ちゃんは、産道に近い部分は足腰の下半身(骨盤)となります。このことを「頭位」に対し、「骨盤位(こつばんい)」と言うことから、逆子のことを広く「骨盤位(こつばんい)」と言うことがあります。
「骨盤位」をさらに、赤ちゃんの姿勢で分類すると、次のような3つに大きく分類できます。
- 臀位:赤ちゃんがV字に体を曲げているような姿勢で、単臀位、複臀位、不全複臀位があります。
- 膝位:赤ちゃんが膝立ちしているような姿勢で、全膝位、不全膝位があります。
- 足位:赤ちゃんが立っているような姿勢で、全足位、不全足位があります。
もし、妊婦健診の時に「逆子ですね!」と、診断されたら、赤ちゃんがどのような姿勢なのか、頭と足の位置を尋ねておくと、その後の経過をみることができます。
次回の健診で、仮に再度逆子であったとしても、姿勢が変わっていれば、比較的直りやすい逆子だと思われます。
全く姿勢が変わっていなければ、難治性かもしれません。
「逆子」についてのデータ
逆子について、以下のようなデータがあります。
- 実は妊娠24~27週の間に、全胎児の約20~30%が逆子になっていると言われています。
- 逆子が自然に正常な姿勢に戻りやすい時期は、28週くらいまでと言われていますが、いったん逆子が直っても、再び逆子になってしまうことケースもあります。
- 逆子のままお産を迎える割合は、全体の3~5%くらいで、安全を考えて、ほとんどの場合「帝王切開」が選択されます。
妊娠24~27週位に逆子だと診断されても、多くの場合では自然に直るので、「それほど気にしなくても構い」と言われていました。
そのため、少し前までは《逆子改善プログラム》も、28週頃からスタートしましょう… と、お伝えしていました。
しかし、働く妊婦さんが増えているせいか、妊婦さんを取り囲む環境が変わってきているせいか、初期の段階から逆子と言われ、妊婦検診の度に「逆子だと言われ続けている」という患者様が増えてきているように思われます。
また、逆子と診断されてからの経過が長い方ほど、難治性となっているケースが少なくありません。
このことから、レジーナ鍼灸院では、逆子だと診断を受けたら早期の段階から《逆子改善プログラム》をスタートさせ逆子を直し、逆子を再発させないようにケアしていくことをおすすめしています。
「逆子」になる時期について
いつ「逆子」になるのでしょう?
「あ! 逆子になった!」と、妊婦さん自身がはっきり認識できるようなことはなく、多くは何も感じない間に逆子になっていて、妊婦健診で、医師から指摘されて初めて逆子になったことを知ることとなります。
妊婦健診は、妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24以降には2週間に1回程度の間隔で行われるため、いつから逆子になったのか、厳密に知ることはできません。
「逆子」になってしまったら…
赤ちゃんはお腹の中で、常に動き回っているので、逆子は自然に直る可能性がありますが、出産まで逆子が直らなかった時には、自然分娩では難産となり、赤ちゃんも危ない状態になるため、通常は事前に「帝王切開による出産」が選択されます。
西洋医学的に、妊婦さんと赤ちゃんの安全を考えた時、最前の方法が「帝王切開」であるため、また、コレといった治療法がないため、残念ながら、逆子を問題視する医師は残念ながらほとんどいらっしゃいません。
妊婦健診で、30週ごろまでに逆子であることが分かっても、医師は逆子であることすら特に何も言わないこともありますし、「逆子ですね、様子をみましょう」と言われることが普通です。
しかし、33~34週ごろの健診でも逆子であると、突然、帝王切開による出産日を決められてしまい、その時はじめて、「逆子だから自然分娩ができない」ことを実感し、とてもあわてる妊婦さんが非常に多いのです。
ですから、逆子であると分かった時点で、なるべく早くから鍼灸を開始し、1日も早く逆子の姿勢を戻し、出産まで逆子の再発を防止することが大切です。
「逆子」の原因
逆子になる原因は、よく分かっていませんが、逆子を誘発しやすい因子として、
- 子宮の問題
- 赤ちゃんを取り巻く環境の問題
- 妊婦さんの生活習慣の問題 などを
あげることができます。
①妊婦さんの子宮に問題がある場合
- 子宮の奇形
- 子宮筋腫
- 狭骨盤
- 胎盤異常(前置胎盤・低置胎盤) など、
子宮や胎盤の形状や位置などの問題によって、赤ちゃんが自由に動き回ることができなくなってしまい、逆子になる可能性があります。
②赤ちゃんを取り巻く環境に問題がある場合
- 羊水過多
- 多胎妊娠
- 赤ちゃんの下肢の伸展
- 低体重児
- 胎児奇形(無脳症、水頭症) など
赤ちゃん側の問題でお腹の中を自由に動き回ることができにくくなり、逆子になる可能性があります。
※近年では、赤ちゃんの下肢の伸展が、逆子の原因であると、考えられています。
③妊婦さんの生活習慣の問題
- 猫背がち
- 急激な体重増加
- 運動不足
- ストレス
- 睡眠不足
- 足腰の冷え
- 産休になかなか入れない人 など
上記のような項目は、すべて子宮への血流不良を起こす因子です。これらにより、赤ちゃんが自由に動き回ることができにくくなり、逆子になる可能性があります。
※東洋医学では、体の循環(めぐり)や足腰の冷えに着目し、これらを改善・調整していきながら、赤ちゃんが動きやすい、そして、回りやすい環境を整えていきます。
「逆子」であることのリスク・危険性は?
「逆子」であると、次のようなリスクや問題があります。
前期破水・早産のリスク
足位、膝位の場合、出産予定日より前であっても、赤ちゃんが足を動かすことで前期破水(30~50%に合併)、臍帯脱出、赤ちゃん自体の脱出が起こり、赤ちゃんが死亡してしまうリスクがあります。
分娩外傷、死亡のリスク
通常は、赤ちゃんの一番大きな頭で産道をこじ開けて生まれやすい状態を作ることができるのですが、逆子のまま自然分娩を行おうとすると、手足が産道に引っかかり、脱臼したり、頭が最後に出てくることになるため、難産になります(牽引による分娩外傷は、正常自然分娩の2倍) 。
また、赤ちゃんの脳に酸素が行かないため仮死状態となり、出生後障害が残ったり、最悪の場合死亡してしまうこともあります(死亡率は、正常自然分娩の3倍)。
「帝王切開」について
逆子の出産は、ほとんどの場合、帝王切開による出産が選択されます。
「逆子」では、なぜ「帝王切開」が行われるのでしょうか?
逆子の自然分娩は、元々リスクがあります。
また、近年の産科領域における訴訟問題の影響もあり、病院での出産では、通常「帝王切開」が行われます。
「帝王切開」が行われる時期について…
帝王切開の時期は、担当医師の判断にもよりますが、
- 赤ちゃんが子宮の外に出ても支障がないぐらい充分に発育していること。
- 陣痛や破水が起こってしまってからでは、危険を伴うので、それらが起こる前であること。
などといった要因を考慮して、通常37~38週位に予定されます。
逆子で自然分娩できるの? 外回転術って?
逆子で自然分娩できるの?
現代医学以前の時代、出産は命がけでした。
逆子という認識は全くなく、出産が始まった段階で、手足が出てきたものの、引っ掛かってなかなか生まれてこれない ”難産” となり、初めて「赤ちゃんの向きがおかしい」ということが分かったのです。
逆子を自然分娩(経腟分娩)した場合、一番大きい頭が最後に出てくることになり、赤ちゃんが窒息する確率が高くなります。
特に、最初に出てくる部分が小さいと、産道が十分に開かないため、危険度が高くなります。
つまり、臀位→膝位→足位の順に分娩時の危険度が増してきます。
また、産道が十分に開かないため、足を引っ張ったり、手を引っ張ったりすることになるので、手足が脱臼する率も高まります。
このことから、「逆子の場合は予定帝王切開をすべきである」とされています。
外回転術とは?
妊娠35週頃までに逆子が直らなかった場合、外回転術という矯正法で逆子を直す方法があります。
外回転術は、お腹の表面から、赤ちゃんの姿勢を強制的に正常な姿勢へと手でギュギュっと動かしていくものです。
以前は、”お産婆さん” が行っていましたが、経験と勘に頼るため、へその緒が赤ちゃんの首に巻き付いたまま回転させてしまい、赤ちゃんが死んでしまったり、胎盤がはがれてしまう、などといった危険が伴いました。
現在ではそのような危険を回避するため、外回転術は緊急オペ(帝王切開)ができる病院の手術室でのみ、赤ちゃんの心音やエコーで確認しながら、行うことが許されている状況です。
外回転術を行えば100%逆子が直るわけではなく、直らない場合もあります。
基本的には、ある程度の力を加えて赤ちゃんを動かしていくため、痛みを伴います。
また、逆子がいったん直っても、また逆子にもどってしまうこともあるため、外回転術による逆子の改善率は約50%というデータがあります。
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